血の起源

you_hikyaku2005-05-03

寺山修司生誕70周年記念公演。
主演:安寿ミラ 舘形比呂一 西島千博
構成、演出:栗田芳宏
美術:朝倉摂
http://www.majorleague.co.jp/kouen/tinokigen/index.html


シアター1010にて、寺山修司作「血の起源」を観劇してきました。
歌と肉体的なイメージのみで構成されたこの作品が私に理解できるのか…
以前、「血は立ったまま眠っている」を観劇した際も正直難しかったので
ちょっと不安でしたが、本当に観劇して良かったと思える作品でした。
まず、舞台美術。二宮さんの「理由なき反抗」も手がけた朝倉摂さんの作品。
能をイメージして作られた舞台はとても美しかった。
「水能(すいのう)」って言葉はないそうですが、真ん中に水を張ったプール。
バックが真っ暗な舞台に赤いライトが射し、そこにひらひらと舞う花びら。
本当に美しかった…
そして、音楽。ピアノ・バイオリンが後ろで生演奏。
それに、水のしぶく音が加わって、少ない楽器であんなに迫力のある雰囲気が作れるんだ…と驚きました。
最後に出演陣。
少しの台詞と歌。そこに華麗なダンスが加わって、見惚れてしまいました。
主演の3人が凄い魅力的で美しかった。
水の中で踊ってるので、ジャンプをした時にパァーンと水しぶきが舞って、
それが更に綺麗さを増して。圧巻でした。
そしてラストの安寿さんのセリフ
「誰も何処へもやるものかー」って我が子を守ろうとするシーンは、
切なくてグッとくるものがありました。
3人とも無駄のない肉体…って感じで、ひとつひとつの動きがとても綺麗で。
幻想的で、官能的で、美しくて…うまく表現できませんが、
これは観て損のない、観るべき作品だったんじゃないかと思いました。

 
あなたのお父さんを下さい
破り捨てて火にくべまする
あなたのお母さんを下さい
お母さんを七人集めて袋につめて
猫が灰をかぶる
お袋破りどんと蹴れ
お袋泣け
やっところがし、穴掘って埋めろ
あなたのお姉さんを下さい
鋏で切ってバラバラバラバラバラバラ

あなたのお兄さんを下さい
お兄さんに髭を生やして変装させて

毒薬ぐらぐら
一家殺しの葡萄酒だ
葬儀屋だ
お袋買いに行け
親父を売りに出せ



終わってから、安寿ミラさんと西島千博さんによるトークショウがありました。
2人とっても仲良くて、手を繋いで登場です。
水に強いメイクなので落とす時間がなくそのまま、それに楽屋着。
このアンマッチな感じが面白くてよかった。
足元なんてサンダルですからね。でも化粧は魅惑的なままで…(笑)
内容は、やはり水を使った舞台について。
いつ滑るか、足の裏の神経を凄く使ったそうです。
そして、西島さんは寝て起きたらすぐ鏡の前にいるって感じるくらい、
この作品に没頭してたみたいです。普段作る料理もしなかった…と。
そして今でも、裏でラストシーンになると泣きそうになるそうです。
稽古場でも泣いてたらしいですが…
さっきまで華麗に踊っていた2人が、ケラケラ笑いながら話してるのが
とっても不思議な感じがして楽しかったです。
特に西島さんの、あのおっとりした話し方が凄いこっちまでおとっりした気分になれて良かったです。
そして笑ったのが丸井話。劇場が丸井の上にあるって事でこの展開に…
丸井のモデルをやってる西島さん。
次は浴衣バージョンも披露だ…と。(もう出てるのかな?)
そして、エレベーターに乗ってて扉が開いて自分のポスターがあったとき、
「あれ僕!あれ僕!」と安寿さんにボスターを指差しながら言ってた…と。
ショッピング中のお客さんも乗ってるのに!!
安寿「普通、隠れるでしょ?なのに僕だ!って。ビックリしたわよ」
西島「後から、(そんな事言ってる)自分にビックリしたんだよね」
と、こんな他愛のないやりとりもあり…
あと、温泉好きの西島さんは「大江戸温泉で浴衣を選んで着れるのが嬉しい」と。
それを夜中に安寿さんに電話で熱く語ってたとか。
舞台にお話に…大満足。
そして終わってから、「アングラ演劇傑作ポスター展」も鑑賞。
どっぷりアングラに染まった1日でした。
次回公演、「奴婢訓」も観たいな。
http://www.majorleague.co.jp/kouen/new_nuhikun/index.html